ゴジラマイナスワン、ゲゲゲの謎と合わせて戦時・戦後日本を描いた映画かつ口コミ高評価を得ているということで観に行ってきました。
一言でいうと美しい映画でした。
以下、ネタバレ有ですので、ネタバレがダメな方はここでお引き返しを。
窓ぎわのトットちゃん
窓際のトットちゃんは、日本で一番最初にテレビ出演し、これまでの持ち番組最長記録を保有することで有名な黒柳徹子さんの自伝的な小説が基となっています。
私が学生の頃は、学校指定図書になっていたので各クラスに1冊置いてありました。
しかし、表紙がちょっと怖くて一回も読むことなくこれまで生きてきてしまいました。これを期に原作を読んでみたいと思います。
原作未読であることと、キャラクターデザインが好みではなかったため、当初映画を観るつもりはなかったのですが、ゲゲゲの謎とゴジラを観に行った方々が口々にトットちゃんも良い、合わせてみるべきとおっしゃっていたので観に行った次第です。
そして、私もゲゲゲの謎とゴジラを観た方はきっと気に入ると思っています。
時代的にはトットちゃん→ゴジラ→ゲゲゲの謎の流れですね。
トットちゃんでは、戦争前で、黒柳家が裕福であるため、文明化された幸福な東京が最初に描かれます。えっ!?当時こんなに洋風のお家あるの?と思ってしまいました。トースト焼く機械がお洒落です。赤い屋根のお家が可愛い。お父様お母様の趣味なのでしょうか。
※黒柳さんのお父様は、交響楽団のコンマスだったそうです。なんと、ゴジラ1作目のテーマソングも弾いているとか。
トットちゃんは、ちょっと多動気味で学校では問題児の扱いでした。そのため、当時としては異色の教育を行うトモエ学園に通います。こちらの学校は、日本初のリトミック教育を取り入れ、子どもの興味を伸ばすような教育を行っていたそうで、黒柳さんの豊かな感性とおおらかな性格はこの学校教育が根元にあったんだなあと感じさせます。
小林校長先生が本当にいい先生なんですよね。私も子供のころに出会いたかったです。
作中で語られる「目あれども美を知らず、耳あれども楽を聴かず、心あれども真を解さず、感激せざれば燃えもせず」とはなんという名言でしょうか。
そんな自由な校風の中、トットちゃんは豊かに生活していくのですが、作中で描かれる自然やトットちゃんの心情イメージがとても美しいです。急に作画がガラッと変わるのは、小説版の挿絵をイメージしているのかなと思いました。
本当に黒柳さんはこうした美しいイメージを日常から感じていたのかと思うと、感受性が高い人がみる世界はなんてキラキラして美しいのかと思いますね。作画スタッフの人たちの努力の結晶でもあります。
プールのシーンなんて、泰明ちゃんがどれだけ重力から解放されたかが絶妙な表現されてて泣きそうになりました。あと、終盤の雨の中のシーンも。戦時中ということを忘れる美しいイメージでした。
様々なところで泣きそうになったのですが、個人的に一番効いたのは、ひよことのお別れシーンです。私も夏祭りでウズラをすくってきて、数日後に亡くして大泣きした経験があるので、あの時の哀しさが一気に押し寄せてきました。。。
お祭りの動物は弱ってるんだ、私も今ならお父さんと同じ気持ちになれる、けど、トットちゃんの一生のお願いにしたい気持ちもわかるので辛いです。
感情を揺さぶられた一番の理由が、子役の方の演技が素晴らしかった点にあると思います。トットちゃん役の子の演技が本当に小学校低学年の子のそれで、すごいリアルでした。泰明ちゃん含め、全ての子供役の子がリアルで、お芝居だと思いませんでした。
それゆえに、最後にトットちゃんが戦争体験によって大人になってしまったのが声でもわかってしまって哀しい。ああ、色々な経験から人のことを考えられるようになっちゃったんだなと。
もともとすごく聞き分けの良い子なんですよね。それが最後は大人に遠慮できるようになってしまった。哀しいことです。
お父さんが途中から出てこなくなったり、飼い犬の首輪だけが映ったり、映像だけで語るシーンも多々ありました。色々考えさせられました。最初に裕福なシーンが多い反動で、後半食事もままならない、子供がおなか一杯ご飯を食べられない描写がより一層堪えます。最初から壊れているゴジラよりもショックが大きく感じられました。
終わり方は原作通りのようですが、青森に疎開に行くところで終わっているので、この先どうなったのだろうと気になります。続編があるようだけど、そこで語られるのかしら。ラストのチンドン屋のところだけよく意味が分かりませんでした。
最後に、トモエ学園が空襲で燃えた後、小林校長先生が次はどんな学校を作ろうか、みたいなこと言っていたのですが、あのシーンは言いようもなく怖かったです。あの優しい校長先生も戦争を憎みすぎて精神をきたしたのかと思いました。
原作読みます。
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